東郷神社の獅子像とZ旗(原宿散歩⑩)
東郷神社の表参道を進んでいくと石段を登った場所に、狛犬に似た獅子像が置いてあります。(下写真)
神社にある獅子の像なので、狛犬と間違えて、変わった姿の狛犬だと思う人も多いようです。私も最初見た時は、そうした感想を持ちました。
しかし、これは狛犬ではなく、獅子像です。
この獅子像は、東京築地にあった海軍大学校の敷地(現在の国立がんセンターの辺り)に造られた有栖川宮威仁(たけひと)親王像の台座の四隅に設置されていたものです。
有栖川宮威仁(たけひと)親王像は新海竹太郎が製作し、大正10年12月24日に完成しました。有栖川宮親王像は、15メートルの円柱の上に載せられていて、台座と銅像全体の設計は建築家の伊東忠太が行ないました。
東郷神社にある獅子像は、この台座の四隅に飾られた獅子像でした。下写真は、表参道にある二つ獅子像のうち社殿に向かって右手にある獅子像です。
有栖川宮威仁(たけひと)親王像は、昭和59年7月に、有栖川宮家の祭祀を継承した高松宮宣仁親王の意向により、福島県猪苗代町にある有栖川宮威仁親王の別邸であった天鏡閣に移設されました。(下写真)
この有栖川宮威仁(たけひと)親王像移設に際して、台座は新しく造られたため、それまで台座を飾っていた獅子像が東郷神社に奉納されました。
こうしたことから東郷神社では狛犬と呼ばず獅子像と呼んでいます。
獅子像は、台座の四隅を飾っていましたので、四体ありました。表参道のほかに、潜水艦殉国碑の脇に設置されています。(下写真)
《Z旗》
東郷神社の境内に飾ってある幟(のぼり)には、Z旗が修飾されています。(下写真)
Z旗はいうまでもありません。日本海海戦の開始にあたって連合艦隊の旗艦『三笠』に掲げられたものです。この時のZ旗には「皇国ノ興廃コノ一戦ニアリ、各員一層奮励努力セヨ」という信号文があてられていました。
連合艦隊の決意をしめしたものとして大変有名です。
Z旗というのは、もともと国際信号旗のアルファベットのZの文字を示す旗で、2本の対角線で4分され、黄・青・赤・黒の4色に染め分けられています。
Z旗は、単独では「私は引き船を求める」、漁場では「私は投網中である」という意味を表す信号として使用されます。
日露戦争の際に、旗艦『三笠』に掲げられた旗がZ旗であったのは、AからZまである信号旗の中でZ旗は最後の旗であり、「この戦いに負けたら後がない、絶対に勝つ」という強い決意をしめすため、Z旗が掲げられたといわれています。

