塙保己一史料館(温故学会会館)(渋谷散歩⑨)
渋谷郷土資料館・文学館からあまり遠くない場所に塙保己一史料館(温故学会会館)があります。
塙保己一史料館は温故学会が運営しています。温故学会は、塙保己一の業績を顕彰するため、明治42年に渋沢栄一らにより設立された公益社団法人です。
保己一の精神である温故知新(論語・ふるきをたずねてあたらしきをしる)の趣旨に基づき活動するとともに、重要文化財指定の『群書類従』版木の保管、盲人福祉事業、各種啓発事業に努力しています。
温故学会会館(塙保己一史料館)は、昭和2年3月に建てられた建物で、会館は、平成12年4月文化庁より『登録有形文化財』に指定されました。(下写真は建物全景です)
昭和12年4月には、三重苦の生涯をおくったヘレン・ケラーが温故学会を訪れています。
ヘレンケラーが訪れて、塙保己一の銅像に触れたという2階の講堂は、現在も当時のまま残こされています。
私たちが訪ねた際に、齊藤代表理事様が、塙保己一についてお話いただいたのが、ヘレンケラーが訪ねた場所だそうです。その話を聞いて大変感激しました。下写真は、講堂で参加者の皆さんにお話される齊藤代表理事様です。
会館の倉庫には国重要文化財に指定されている「群書類従」の版木が1094枚保管されています。倉庫内は、依頼すれば見させていただけますし、写真撮影も可能です。下写真が倉庫内の様子ですが、両側の棚にぎっしりと積まれているのが板木です。その様子は壮観でした。
なお、板木が保管されている倉庫は、耐火倉庫ではないため、火の元には大変気をつかっているそうです。
この板木を使用して、現在も印刷が可能だそうです。それを利用した和装本は一冊からでも販売しているそうです。
『群書類従』については、「ブリタニカ国際大百科事典」が大変詳しく書いていますので、「ブリタニカ国際大百科事典」より引用させてもらいます。
日本の古代から江戸時代初期にいたるまでの古書を集大成した叢書。編者は塙保己一を中心に,子の忠宝 (ただとみ) ,孫の忠韶 (ただつぐ) ,弟子の屋代弘賢 (やしろひろかた),黒川春村。正編は 1270種の文献を 530巻に,続編は 2103種の文献を 1150巻に収め,正続ともに神祇,帝王,補任,系譜,伝,官職,律令,公事,装束,文筆,消息,和歌,連歌,物語,日記,紀行,管絃,蹴鞠,鷹,遊戯,飲食,合戦,武家,釈家,雑の 25部に分れる。正編は安永8 (1779) 年に編纂に着手,文政2 (1819) 年に刊行された。(ブリタニカ国際大百科事典より)