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戸山公園(新江戸百景めぐり⑦)

戸山公園(新江戸百景めぐり⑦)

 「新江戸百景めぐり」ですが、前回までは、深川の小名木川近辺について書いてきましたが、今日は、ず~っと西にとんで、戸山公園をご案内します。

『新江戸百景めぐり』(小学館刊)ではP90の第41景で取り上げられています。

戸山公園は、現在は都立の公園となっていますが、江戸時代は、尾張藩徳川家の下屋敷でした。

戸山公園は大久保地区と箱根山地区に大きく分かれていますが、尾張藩の下屋敷であったのは箱根山地区のほうです。

現在、下屋敷の名残を残している代表的なものは、箱根山です。(下写真)

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箱根山への最寄駅は幾通りもあります。東京メトロ副都心線の「東新宿」「西早稲田」さらに東西線の「早稲田」からも行くことができます。

どの駅からいっても大きな差がありません。西早稲田から行くのが多少近いかなという感じでしょうか。

尾張藩下屋敷は、別名「戸山荘」と呼ばれました。戸山荘には、小田原宿を模した宿場町が再現されていたり、25景と呼ばれる景勝地もありました。しかし、箱根山を除くと戸山荘の面影はまったく残されていません。

戸山荘時代と現在の戸山公園とを比較した「尾張戸山荘今昔めぐり」というパンフレットを戸山公園サービスセンターで配布しています。下写真は、パンフレットの裏面で戸山荘の今昔比較地図が載っています。

これを貰ってから戸山公園を散歩すると、江戸時代の戸山荘と現代の戸山公園が比較できて便利です。
 なお、「今昔比較地図」を見て、まず気がつくのは、大きな池があったのだということです。

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戸山荘は、尾張藩2代藩主の徳川光友が築いたもので、新宿区史には、寛文7年(1667)に2町ほどの畑を購入したのが始まりで、その後、寛文9年には牛込済松寺の開基でもあった祖心尼から寺領4万6022坪を譲られ、さらに寛文11年(1671)には将軍(時代的には4代将軍家綱)からは8万5018坪を拝領したと書いてあります。

ちなみに、祖心尼は、春日局の義理の姪で、孫娘のお振の方が3代将軍家光の寵愛をうけて、長女千代姫を産みました。そして千代姫は尾張藩の徳川光友に嫁ぎました。つまり光友にとって、祖心尼は、義理の曾祖母にあたります。
 【R1年7月7日付記】なお、新宿区史を読み直したところ、振姫は、祖心尼の娘と書いてありました。どちらが正しいのか調査が必要と思いました。


 「明治庭園記」という本によれば、戸山荘は13万6271坪もある広大な庭園で、東京ドームに換算すると約9.5個分になります。(国立国会図書館月報695号より)

 現在の大久保通りに面した側に御殿があり、その西側および北側に広大な御庭が広がっていました。

 戸山荘の景勝については、宝暦11年(1761)の9代藩主宗睦の時代に、儒学者細井平州に25景を選ばせています。

この25景の名称は、次のような景色です。(詳しく書きましたが、とばしていただいて結構です)これらがどこにあったかが前述の「尾張戸山荘今昔めぐり」に載っています。

  鈴慶堂、荻苓坂、琥珀橋、養老泉、傍花橋、随柳亭、望野亭、招隠里、古駅楼世外寺、称徳場、両臨堂、修仙谷、塩遥亭、錦明山、鳴鳳渓、竹倚門、水廬山、吟涼橋、古道岐、拾翠台、臥辨渓、彩雲塘、濯槽川、玉円峰

 このほとんどのものが現在は失われていますが、唯一残っているのが玉円峰です。玉円峰は、池を掘った土で作った山でした。それまでは麻呂が嶽と呼ばれていて、25景選定以降、玉円峰と呼ばれ、さらに、明治以降、箱根山と呼ばれるようになりました。

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箱根山は、標高44.6メートルあり、山手線内最高峰です。山頂には、水準点があり、標高44.6メートルと刻んだ石碑も埋めてあります。(下写真)

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 この戸山荘には、宿場町も再現されていました。小田原の宿場町を模して作ったという御町屋(おまちや)です。この御町屋は、庶民の生活を知るため、小田原の宿場のたたずまいを取り入れた実物大の家並だったそうです。町屋には、米屋、鍛冶屋、問屋場、炭屋、油屋などが軒を並べていたそうです。将軍御成や藩主滞在の折には、各々店を開いて、そこでの売買の様子を実現させました。
 こうしたことで、庶民の生活に直に触れることになり、藩主や妻妾や子供たちに、庶民の生活を学ばせたのではないかと私は思っています。(個人的な見解です) 

 この御町屋の建造は寛文12年(1672)と言いますので、戸山荘が造られた初期に造られたことになります。御町屋は現実の町以上に、山間のひなびた雰囲気を持つ宿場町だったそうです。
 25景のなかに「古駅楼」というものがあります。前述の赤字部分です。この古駅楼は、宿場にある本陣を意味していて、虎屋という外郎屋でした。

 現在の西早稲田駅との中間辺りに古駅楼があり、「古駅楼跡」と書かれて標柱が建てられています。下写真は北側からとった写真ですが、この辺りから南方向に小田原宿を再現した御町屋があったようです。写真の右手に写っているのが新宿区立戸山シニア活動館ですが、このシニア活動館が目印になります。

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 この戸山荘には多くの来客がありましたが、11代将軍徳川家斉の御成の記録も残されています。

11代将軍家斉の御成は4回あったともいいますが、寛政5年(1793)3月23日が最初でした。事前に幕府から尾張家に御成のことが伝えられましたが、この御成は建前上、将軍が高田筋に鷹狩に出た際に、戸山屋敷の庭を通り抜けるというものでした。

これは、正式な御成とすると膨大な経費がかかるので、ふらっと立ち寄った形にするというものです。

 御成の当日の3月23日、家斉は午前8時ころに江戸城を出て、高田方面に向かい、そこで鷹狩をおこなった後、高田の放生寺(穴八幡の西隣に現在もある)で昼食を取りました。そして、戸山荘北側の御成門(神明車力門)から、庭園に人り、帰りは、西南にある車力門から帰っています。

このとき徳川家斉は鷹狩で得た獲物を尾張家に与えていて、尾張家では、4月4日にそれを開いて御吸物とし、家来たちにも分け与えています。

寛政9年(1797)の御成の折りには、町屋に飾りつけられていた花菖蒲、小菊1桶などが家斉の目に留まり、待ち帰っています。

こうした将軍の御成にあたっては、庭園の整備も大変でした

文化15年(1818)4月15日にも、将軍家斉と世嗣の家慶が鷹狩りの途中に御成になっています。この事前に通知を受けた尾張藩では、3月7日から4月4日までの約1ヶ月間、庭園整備のため、近隣の農民を動員していて、延べ人数が、掃除人足2734人、杣人足(少しレベルの高い作業をする人)が222人、合計で約3000人もの農民が動員されたと「大名屋敷の謎」(安藤優一郎著)に書いてあります。

農民は、農繁期に迷惑だとおもったのか?それとも小遣い稼ぎができると喜んだのか?さて、どうでしょうか。

 また、戸山荘では、戸山焼といわれる焼き物が造られたことが知られています。また尾張藩の市ヶ谷の上屋敷でも楽々園焼という焼物がつくられました。

 

 明治になると戸山荘は、陸軍戸山学校として利用されました。

 明治政府が廃藩置県を実施する際の不測の事態に備えるため薩長土の藩兵8千名を御親兵としました。この御親兵の屯所の一つとして戸山荘が利用され、その後、明治7年に陸軍戸山学校が設置されました。
 陸軍戸山学校には、当初、戦術科・射撃科・体操科があり、戦術科は各部隊の歩兵中尉を集めて訓練し、射撃科は各部隊の歩兵中尉・少尉を集めて射撃教官を育成し、体操科では、体操・剣術の訓練を行ったようです。

箱根山の近くに設置されている箱根山の石碑には、中央に「箱根山」とあり、左には「陸軍戸山学校址」と刻まれています。(下写真)

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 また、戸山学校には、陸軍軍楽隊もあり、陸軍戸山学校軍楽隊といいました。箱根山の石碑の前の窪地が、戸山学校軍楽隊の野外演奏場だと言われています。(下写真)

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敗戦により、陸軍戸山学校の用地は国有地となり、昭和23年には、平屋建ての木造住宅が建設され、戸山ハイツとなづけられました。さらに昭和44年から昭和55年にかけて高層アパートに建てかえられました。

戸山公園は、非常に広い公園で、しかも新大久保地区と箱根山地区に分かれています。

江戸に興味を持つ人にお勧めなのは、当然箱根山です。この箱根山に登ると「登頂証明書」が発行されます。(下写真)

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しかし、この登頂証明書を発行してくれるのが、箱根山から徒歩10分余りかかる新大久保地区にあるサービスセンターです。箱根山に登ってから貰いにいくのが大変という方は、先に発行してくれますので、「尾張戸山荘今昔めぐり」のパンフレット(下写真は表面)を貰いながら登頂証明書ももらうのが良いと思います。西早稲田駅からは徒歩約5分です。

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なお、グループで箱根山に登るといった際には、箱根山に出張して登頂証明書を発行してくれるそうですから、サービスセンターに問い合わせてみてください。

赤字が箱根山です。

青字が、古駅楼跡の標柱です。

ピンク印が戸山公園サービスセンターです。










by wheatbaku | 2019-07-04 12:52 | 新江戸百景めぐり

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