深川江戸資料館(新江戸百景めぐり⑭)
前回紹介した霊厳寺のすぐ東隣に深川江戸資料館があります。
深川江戸資料館も『新江戸百景めぐり』(小学館刊)P88に紹介されているので、今日は、深川江戸資料館をご紹介します。下写真は入口です。
深川江戸資料館は、東京メトロ清澄白河駅A3番出口から徒歩約3分の場所にあります。
深川江戸資料館は昭和61年に開館しました。
受付は1階ですが常設展示室は地下1階となっていて、江戸時代の天保年間の「深川佐賀町」の街並みを再現した展示がされています。下写真は、1階から地下1階への階段から写した写真です。
深川江戸資料館の展示は、大きく4つのゾーンに分かれています。①大店などがならぶ佐賀町の表通りゾーン、②船宿が並ぶ掘割ゾーン、③火の見櫓などがある火除地ゾーン、④庶民が住んでいる長屋ゾーンです。
それでは、ここからは深川江戸資料館の展示をゾーン別に紹介していきます。
1、表通りゾーン
表通りゾーンは、佐賀町通りをイメージして再現しています。この通りには、肥料問屋、八百屋、舂米屋(つきごめや)が店を並べています。
深川には、材木問屋、米問屋、肥料問屋の大店(おおだな)が多くありました。肥料問屋「多田屋」も、その一つで、看板や暖簾も立派な大店です。
また、肥料問屋「多田屋」の向かいには、舂米屋(つきごめや)「上総屋」があります。舂米屋は米問屋から仕入れた玄米を唐臼で精米して庶民に売りました。舂米屋は江戸市中の各所にありましたが、米問屋は、深川佐賀町に集中していて、米問屋の数は江戸随一でした。
2、掘割ゾーン
堀割ゾーンは、深川の油堀をイメージして再現されています。堀に面して2軒の船宿が店を並べています。手前の船宿「升田屋」は、堅い商売をしていて2階は組合の人たちの会合・宴席の場として貸し出たりしますが、奥の「相模屋」の方は、男女の密会用に2階を貸し出しているという設定だそうです。
堀には、船宿が所有している猪牙船(ちょきぶね)が浮かんでいます。船の形が猪の牙に似ているため「猪牙」の漢字が当てられたという説もあります。この猪牙船にのって吉原へ行ったり、船遊びを楽しんだりしました。
3、火除地ゾーン
江戸は火事の多い都市であったため、延焼を防ぐために、火除地という防火帯を作っていました。火除地には、恒久的な建物の建設は許されなかったため、簡易な店造りの床見世や葦簀張りの茶店などが店を並べていました。また、火除地という想定であることから火の見櫓もセットされています。実際に深川佐賀町には火の見櫓があったそうです。
火除地ゾーンには、上の写真にもある蕎麦屋や天麩羅屋など屋台のほか、水茶屋もセットされています。(下写真)
4、長屋ゾーン
長屋ゾーンは、庶民の住んでいる長屋の様子を再現しています。
それぞれの家族構成まで考慮してジオラマが再現されています。
下写真は木場の木挽職人の長屋を再現してあります。木挽職人というのは大きな鋸で材木を切って板にする職人のことです。長屋の壁には商売道具の鋸が掛けてあります。
木挽職人の隣は、裁縫・三味線のお師匠さんの住まいです、手習もお師匠さんでもありました。女性らしく小ざっぱりした住まいが再現されています。(下写真)
これらのほか、船頭、棒手振などの庶民の住まいが再現されています。
長屋の奥には、井戸、ごみ溜め、雪隠(トイレ)、お稲荷様が再現されています。これらは、江戸のどこの長屋にもあるありふれた光景ですが、案内してくれたガイドさんの話によると、ここを案内して最も驚かれることがトイレの扉が半分しかないことだそうです。これは年齢に関係なく、一様に驚くそうです。現代のトイレは密室となっているため、現代人からみると確かに不自然に感じて当然でしょうね。
5、生活用品
深川江戸資料館では、江戸時代の生活用品も忠実に再現されています。しかも、それに触れていいというのが素晴らしいと思います。いろいろある中で、ひとつだけ紹介します。下写真の左側にあるのが瓦灯(がとう)という灯りです。触ってみましたが、瓦の漢字が使われているごとく陶器製でした。写真右手はおなじみの煙草盆です。
深川江戸資料館では、定期的に季節にあわせて年中行事の再現が実施されています。7月7日が七夕でしたのでまで七夕飾りがされていました。(下写真)そのほか、季節ごとに正月飾りや端午の節句などが行なわれていて、秋には、十五夜の飾りつけがされるようです。また、伝統芸能をみせてくれるイベントも開催されているそうです。
赤印が深川江戸資料館です。
青印が霊厳寺です。