渋沢栄一ゆかりの赤石(渋沢栄一ゆかりの地34)
渋沢栄一が飛鳥山邸に移り住んだ後、渋沢事務所として利用されていた兜町邸は、関東大震災の直後に発生した火災により全焼してしまいました。
その跡に、昭和3年(1928年)新しく建設された建物が日証館です。日証館は、東京株式取引所によって建設されました。
日証館は、当初は東株ビルディングと呼ばれていましたが、昭和18年に日本証券取引所が設立された後は日証館と呼ばれるようになりました。(下写真は日証館の正面入り口です。)

日証館は、現在は、平和不動産㈱が所有していて、平和不動産の本社も日証館の中にあります。(上写真の入り口に向かって左には「平和不動産株式会社」という銘板が埋め込まれています。)

平和不動産は、昭和22年、日本証券取引所が、所有している不動産等を現物出資して設立された会社です。
日本証券取引所は、戦時体制が強化される時流の中で、昭和18年6月、日本国内にあった11の株式取引所(東京・大阪・横浜・名古屋・京都・神戸・博多・広島・長崎・新潟・長岡)を統合して設立された半官半民の特殊法人でした。
しかし、戦後の民主化がすすめられる中で、昭和22年に解散しました。
日本証券取引所が解散されるにあたり、日本証券取引所が東京、大阪、名古屋その他に所有する証券取引所等の施設を、新たに設立される証券取引所や証券業者等に賃貸することを目的として、平和不動産が設立されました。
そのため、平和不動産は、現在も、日証館のほか、東京証券取引所ビル、大阪証券取引所ビル、名古屋証券取引所ビルなどを所有しています。
東京証券取引所ビル前の通り(平成通り)と永代通りとの交差点に「KABUTO ONE(カブトワン)」と名づけられたビルが、昨年(2021年)8月に竣工・開業しました。このビルは、平和不動産が山種不動産・ちばぎん証券と共同開発したビルです。(下写真がビル正面です)

このビルの一階のエントランスに、渋沢栄一の兜町邸にあった「佐渡の赤石」が設置されています。
この赤石は、「カブトワン」が竣工する以前は日証館にあったものですが、「カブトワン」完成により、ここに移されました。(下写真)

「佐渡の赤石」の傍に設置された「渋沢栄一ゆかりの赤石」と書かれた説明板によると、この佐渡の赤石は、明治21年に渋沢栄一が兜町に邸宅を建てた際に、日本経済の繁栄を祈念した縁起石として設置されました。その後、三田綱町に渋沢篤二のために邸宅を購入した際に、この赤石は綱町の屋敷に移されました。その後、栄一の孫渋沢敬三によって昭和24年に、柳橋の料亭「亀清楼」に寄贈されました。昭和29年、平和不動産の創立70周年記念事業の一環として、平和不動産が譲り受け、日証館に設置していたものです。
佐渡の赤石は、佐渡の赤玉石とも呼ばれ、三大銘石の一つに数えられています。縁起の良い石といわれ、庭石・貴石として珍重されて、家の玄関や床の間に飾られてきました。しかし、現在では、ほとんど産出されていないようです。

