人気ブログランキング | 話題のタグを見る
記念艦「三笠」の歴史(横須賀軍港ものがたり⑩)

記念艦「三笠」の歴史(横須賀軍港ものがたり⑩)

 日露戦争当時の連合艦隊の旗艦であった戦艦「三笠」が横須賀で記念艦「三笠」として残されています。そこで今回は記念艦「三笠」についてご案内します。

 「軍港巡り」の汐入桟橋からは徒歩20分、京浜急行横須賀中央駅からは徒歩15分です。下写真が記念艦「三笠」の全景です。右手が艦尾、左手が艦首です。

記念艦「三笠」の歴史(横須賀軍港ものがたり⑩)_c0187004_18251844.jpg

 上記写真の中央には、東郷平八郎の銅像があります。それを拡大したのが下記写真です。

記念艦「三笠」の歴史(横須賀軍港ものがたり⑩)_c0187004_13291327.jpg

 戦艦「三笠」が記念艦「三笠」として残された歴史をまず説明しようと思います。

戦艦「三笠」は、イギリスのヴィッカース造船所で、明治35年(19023月に建造されました。竣工後、直ちに横須賀に回航され、明治3612月、連合艦隊の旗艦になりました。

明治372月から始まった日露戦争では、東郷平八郎司令長官が座乗する連合艦隊の旗艦として旅順口閉塞作戦や黄海海戦に参加しました。

 そして、ロジェストヴェスキー中将を司令長官とするバルト海からはるばる遠征してきたバルチック艦隊を迎え撃ち、明治3852728日にわたった日本海海戦で激しい戦闘を繰り広げ、ロシア艦隊を完膚なきまでに撃破しました。

 しかし、日露戦争終結直後の明治38911日、「三笠」は佐世保港内で後部弾薬庫の爆発事故のため沈没するという悲劇に見舞われました。

 その後、引き揚げられ修理され、第一艦隊の旗艦として現役に復帰したものの、ワシントン軍縮で主要艦の保有制限が課せられたことから、大正129月、艦齢が古くなった「三笠」は廃艦されることになりました。

 しかし、日露戦争の勝利に貢献した戦艦「三笠」を永久に残すべきとの声が内外で高まり、記念艦として保存されることが決定されました。

「当初、東京芝浦に廻航する予定でしたが、横須賀港岸壁に係留中、 関東大震災で艦底に破孔が生じ浸水したため、急遽横須賀に置くことに変更され、大正146月、保存工事を終えた「三笠」は、満潮時を利用して曳船により岩場を掘削した現在の場所に引き入れられ、艦首を皇居に向けて固定されました。」(「記念艦『三笠』ホームページより」

「三笠」の艦首には菊の御紋章が付けられていて、艦首は確かに東京方面を向いていました。(下写真)

記念艦「三笠」の歴史(横須賀軍港ものがたり⑩)_c0187004_18251821.jpg

昭和208月、日本が太平洋戦争に敗れると、日本に進駐してきた連合国軍の中でソ連は記念艦「三笠」を解体するよう強硬に要求したそうです。こうしたソ連の解体要求を考慮して米海軍司令部は「三笠」の艦橋、大砲、煙突、マストなど上甲板構造物を撤去したうえで保存使用することを許可しました。

しかし、横須賀市から「三笠」と周辺地の使用を委託された民間企業は、上甲板構造物を撤去した跡に、水族館、ダンスホールなどを設け、「三笠」を遊興施設に変えただけでなく、「三笠」の近くに保管されていた大砲やマストなどを売却してしまったそうです。

こうした「三笠」の惨状を観たイギリス人がジャパンタイムスに投稿したことをきっかけに、昭和3311月、三笠保存会(会長渋沢敬三)が再び結成され、「三笠」復元運動が始まり、国内外から16千万円もの募金が集まりました。

この募金、アメリカ海軍のニミッツ元帥の協力、そして政府の支援により復元工事が実施され、昭和36年、「三笠」は元の姿に復元されました。

下写真は、記念艦「三笠」の入り口です。料金は大人600円です。

記念艦「三笠」の歴史(横須賀軍港ものがたり⑩)_c0187004_18251953.jpg

下地図の中央が「記念艦『三笠』」です。










by wheatbaku | 2022-05-23 18:22 | 近代化に貢献した幕臣

江戸や江戸検定について気ままに綴るブログ    (絵は広重の「隅田川水神の森真崎」)
by 夢見る獏(バク)
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
以前の記事
2024年 10月
2024年 09月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
ブログパーツ
ブログジャンル
歴史
日々の出来事